人材

タムラグループでは、事業目標の推進や、サステナブルな事業の実現のためにはそれを担う人材こそが重要であると考えています。そのため、「人が憧れる会社」 「人が集まる会社」を目指して、人材戦略を進めています。

タムラグループの人的資本への取り組み

長期ビジョン「2050ありたい姿」実現に向けた人材戦略

長期ビジョン「2050ありたい姿」の実現を目指すべく策定したサステナビリティ戦略の一つとして、従業員一人ひとりの「働きがいの実現」を人材戦略の重要な柱と位置づけ「働きがい改革」をグローバルに推進しています。また海外拠点と比較して相対的に多様性の低い日本では、グローバルなステークホルダーの期待に応えられる企業を目指し、女性、外国人、中途採用者の管理職登用を積極的に進め、人材多様性の確保に努めています。

働きがい改革の推進

2022年4月には社長を最高責任者とする「働きがい改革プロジェクト」を始動させるとともに、人事部内に専任の推進部門を新設しました。こうした体制のもとで働きがいのある会社の実現を目指し、働きがい改革を推進しています。

従業員エンゲージメント調査

働きがい改革の効果を測定するため2022年度より国内外26社/約2,700名を対象に従業員エンゲージメント調査を実施しています。2023年度のスコアは2022年度から+7%向上しました。また調査への参加率自体も6割から8割へと改善がみられました。今後もより多くの従業員の声を収集・分析し、働きがいのある職場の実現に向けて取り組んでいきます。

心理的安全性向上への取り組み

「心理的安全性浸透チーム」メンバー

従業員一人ひとりの働きがいを実現するため、また日本国内における人材の多様性を確保するためには、心理的安全性が担保された組織風土の実現が不可欠であると考え、2019年からタムラ製作所において心理的安全性の浸透活動をスタートし、2021年度までに役員を含む全従業員への心理的安全性研修を完了させました。また2021年度からは人事評価制度への心理的安全性の概念の導入、管理職への360度評価を開始し、管理職層の高いマネジメント力の発揮とチーム力の発揮に重点を置いた人事制度をスタートさせました。こうした活動が評価され、株式会社ZENTechが主催する「心理的安全性AWARD2022」にて、ゴールドリング賞に選ばれました。
更に2022年度からは、日本国内の全事業所(関連会社含む)から半期ごとに参加者を募り心理的安全性浸透ワークショップを開催し、2024年3月期までの2年間で延べ約70名が参加しました。参加者は2024年度終了までに合計100名に達する計画で、ワークショップ終了後も各職場で心理的安全性の浸透を推進しています。

グループ合同納涼祭の実施

従業員同士の親睦を深めることを目的に、隔年でグループ会社合同での納涼祭を実施しています。会場の装飾や飲食の内容から、有志の催し物や抽選会などのイベント、当日の司会進行に至るまで、従業員が自ら企画・運営をしています。納涼祭には家族の参加も認めており、毎回大きな賑わいを見せる一大行事になっています。コロナ禍によりしばらく実施を見合わせていましたが、2023年度は4年ぶりに開催することができました。多くの従業員が参加し、久しぶりの納涼祭は大いに盛り上がりました。

タムラグループ合同納涼祭2023(2023年7月開催)

人材多様性の推進

タムラグループでは「タムラグループミッション」ガイドラインの1つとして「多彩な個性を大切にする」と掲げています。
ダイバーシティと多様なライフスタイルに対応できる体制を整備し、性別・国籍にかかわらず誰もが安心して、長い期間、仕事を続けられる職場環境づくりを目指しています。

特に海外拠点と比較して相対的に多様性の低い日本では、グローバルなステークホルダーの期待に応えられる企業を目指し、女性、外国人、中途採用者の管理職に占める割合をKPIとして定め、人材多様性の確保に努めています。

多様な働き方を支える労働環境の整備

多様な働き方に対応する施策として、育児や介護、ボランティアなど多目的休暇や、時間単位での有給休暇を取得できる制度を導入しています。また、育児、介護、配偶者の転勤など一定の理由で退職した従業員を再び従業員として受け入れる制度を設けるなど、仕事と家庭の両立支援を実施しています。在宅勤務制度も導入し、IT環境や規程などインフラ面の整備を行っています。
対面でのコミュニケーション機会が減ってもチームワークが損なわれることの無いよう、リモート環境に適したマネジメントスキル向上の取り組みや、メンタルヘルスのケア等に力を入れています。職場内での人脈形成やOJTを受けることが難しくなった新入社員を対象に、コミュニケーションスキルやセルフケアについての研修を実施しています。また、海外赴任中の社員は生活様式や価値観、仕事の進め方などの違いにより戸惑うこともあることから、いつでもオンラインでカウンセリングを受けられる体制を構築しました。
さらに、管理監督職を対象に、労務管理研修及びストレスマネジメント研修を実施し、コンプライアンスに基づく適正な労務管理の徹底と、ストレスの少ない職場環境の実現に向けた取り組みを推進しています。

女性活躍推進

性別にかかわらず、優秀な人材の採用や登用、就業継続のための取り組みに力を入れています。2024年4月1日時点での当社の女性管理職比率は、9.9%となりました。2024年度までの行動計画においては、「人と組織の意識改革をはかる」、「多様な働き方を可能とする労働環境を作る」、「女性のキャリアを支援する」、「女性の積極的な登用を目指す」ことを定めました。2024 年度末までに女性管理職比率10%を目指します。

育児休業

従業員が利用しやすい育児休業の整備を順次進め、制度利用を積極的に推進しています。2013年度以降女性の育児休業の取得率は100%、男性は、2023年度は70%でした。また、女性の育児休業から復帰時の育児短期間勤務の利用率は2023年度も引き続き100%で、高い水準の制度利用を維持しています。

障がい者雇用と高齢者雇用

ダイバーシティ推進のため、障がい者雇用と高齢者再雇用に取り組んでいます。障がい者雇用は、2023年度には雇用率が2.53%になりました。また、定年後の再雇用を希望される方は100%再雇用し、全従業員の5%を超えるなど、幅広く多様な人材の活用を図っています。

人材マネジメント

人と組織を活性化する人事制度

人事マネジメントの「育成」「配置」「処遇」という3要素を適正かつ効果的に運用し、人と組織の活性化を図るため、公正・公平な人事評価制度を運用しています。評価にあたっては、「行動特性評価」と「目標チャレンジ評価」を実施し、従業員の一人ひとりを公正な視点で評価します。さらに、人事評価の公平性・透明性を担保するため、管理監督者層には評価者研修を義務づけています。また、処遇にあたっては、年齢、学歴、性別などにとらわれず、従業員の職務・職責に基づきグレードの階層を定める職務グレード制を導入しています。
これら人事マネジメント体系を2021年4月に刷新し、従業員の価値観や働き方の多様化に対応しました。管理職層には高いマネジメント力の発揮と従業員が安心して活躍できる環境づくりを期待し、「心理的安全性」の概念の導入や360度評価の実施など、チーム力の発揮に重点を置いた施策を推進しています。高度専門職層は役割定義を厳格化、高い専門性を発揮して、市場に競争力のある製品やサービスを提供することを使命とし、その成果によりメリハリのある処遇を行うこととしました。また、あらゆるジェンダー・年代層が活躍できるよう行動特性の評価項目を全般的に見直しました。特に若年層のグレードにおいては最短昇格年次を大幅に短縮し、早期により高度な仕事に携われる機会を設けました。
これらの新制度の運用により、従業員の多様な働き方を支援し働きがいを高めています。

経営層の育成
(現在経営層・次世代若手選抜)

2019年より事業の中核を担う執行役員、本部長クラスを対象に、戦略立案、事業マネジメント、リーダーシップに関する能力の向上を図り、より高いレベルでのマネジメントができるようになることを狙いとして経営層研修を実施しています。更に2023年度からは次期役員候補者を対象にVUCAの時代に必要なリーダーシップ力を涵養するためリベラル・アーツ研修も取り入れています。

教育研修体系

タムラ製作所では、2021年4月の新人事制度導入と併せて、自律的人材育成ならびに早期キャリアパス形成を目的とした教育研修体系の見直しを実施しました。これまでの選抜研修、語学研修等に加え、Eラーニングを導入し、社員一人ひとりの成長を後押ししています。

従業員の安全と健康

安全衛生

従業員の安全、健康を確保し、かつ適正な作業環境を形成・維持することは、企業が継続していくために最も重要なことです。そこで、労働安全衛生法に基づいて設置が義務付けられている事業所においては「安全衛生委員会」を設置して、労働災害の防止、交通事故の防止、公害の防止、火災防止に関する問題点を抽出し、対策を講じています。また、安全衛生管理の計画的な実施や、異なる事業所間での情報共有を行うなど、グループで統一した安全衛生管理を行うために、国内関連会社も含めたグループ安全衛生委員会を半期ごとに実施しています。

労働災害の防止

当社では国内各拠点のグループ会社安全衛生担当者により構成されるタムラグループ安全衛生委員会を組織し、各拠点で発生した労働災害事例やリスクアセスメント実施結果の共有、再発防止策に取り組んでいます。
2023年度の労働災害度数率は1.05。強度率は0.0020となりました。

緊急事態対応訓練

海外を含めた各サイトでは、環境に影響を与える様々な緊急事態及び事故を想定し、日常点検及び設備のメンテナンスによる予防対策と、事故発生時の緊急対策の2つのリスク管理体制を構築しています。また、緊急事態及び事故を想定した基本的かつ具体的な初動手順を定め、毎年、訓練を実施するとともに、手順の有効性の確認、見直しに取り組んでいます。

化学物質漏洩対応訓練
[上海祥楽田村電化工業]
化学物質漏洩対応訓練
[田村汽車電子(佛山)]
化学物質漏洩対応訓練
[タムラ電子(メキシコ)]
消防訓練
[会津タムラ製作所]
消防訓練
[田村化研(東莞)]
消防訓練
[タムラ・ヨ-ロッパ・リミテッド(チェコ)]

災害に備えた取り組み

自然災害等を想定した各種訓練を実施しており、各事業所において避難訓練及び安否確認訓練を毎年行っています。社内イントラネットには、災害に備えて事業所ごとに避難経路やどの災害備蓄品がどこに収納されているかなどを明示したポータルサイトを開設し周知しています。
また在宅勤務の推進に伴い、防災情報及び防災教育のオンライン化を行い、在宅時に災害が起きた際の避難方法等の情報も展開しています。

交通安全の取り組み

万が一の事故対応に備えるとともに、運転者の安全運転配慮意識の向上を企図し、各事業所の全社用車にドライブレコーダーを設置しています。レコーダー設置後の交通事故及び危険運転は減少しており、効果を上げています。2021年度は、全従業員に向けた交通安全メールの配信や、自動車利用者及び自転車通勤者に向けたセルフチェック方式による自己分析診断、オンラインでの安全運転講習による啓発活動を実施しました。これらの活動が安全運転意識の向上に寄与し、2023年度のタムラ製作所の対人交通事故は2022年度に引き続きゼロ件でした。

AED(自動体外式除細動器)の設置

タムラ製作所各事業所にAEDを設置し、定期的に使用訓練を行っています。近隣住民にも利用してもらえるよう、守衛所にもAED設置を掲示しています。

メンタルヘルス対応

適正な職場環境を維持するために、管理監督者を対象にメンタルヘルス研修を実施し、メンタルヘルスケアに関する基本知識の習得および「心の不調者」の発生予防と早期発見に取り組んでいます。
また、健康管理の観点、および適切な初動対応のために、全従業員を対象とする産業医による面談と、専門カウンセラーによるストレスカウンセリングの場をそれぞれ月一回設けるとともに、社外の従業員支援プログラム(EAP)と契約し、従業員やその上司が、自ら利用できるサポート体制を整えています。
従業員のストレスチェックは2016年度より実施しています。抽出された高ストレス者のうち希望者には産業医面談を行うとともに、組織単位での集団分析結果を各組織にフィードバックすることで良質な職場環境維持に努めています。

健康経営

健康経営宣言(健康経営推進の目的)

私たちタムラ製作所は、お客様に世界の一流品を提供することができるオンリーワンカンパニーを目指します。
そのためには、タムラ製作所で働く社員の健康が経営の基盤と考え、社員が充実した生活を送れる健康で働きがいのある会社作りに取り組んでいきます。

代表取締役会長 浅田昌弘

健康経営推進体制

当社は、社長の指揮の下、産業医や健康保険組合と連携をとりながら、健康経営に関する取り組みを推進していきます。

重点課題と施策

当社での健康課題として、喫煙、睡眠、血圧リスクが挙げられており、特に「睡眠により十分な休養がとれている」と感じている人の割合が低い状態です。
睡眠で十分な休養がとれないことが、ストレスの増加、血圧の上昇、集中力の低下などの要因の1つとされており、アブセンティーズム、プレゼンティーズムに影響を及ぼす可能性があるため、当社では直近の重点課題として「睡眠」に関して取り組んでまいります。施策としましては、睡眠質向上のための社員教育(研修)や残業時間の削減対策を実施してまいります。